七代目孫左衛門

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 悲しいカエルの合唱

<<   作成日時 : 2005/06/28 20:31   >>

トラックバック 0 / コメント 6

我が家の近辺ではもう田植えもほとんど終り、水を張った田んぼの中から、カエルの大合唱が聞こえるようになってきた。
カエルの大合唱で、ふと思い出したことがある。


私の長男(仮称・八代目)が幼稚園年長組の時のことである。


2歳年上の長女は、幼稚園年少組のころから音楽教室に通わせ、ピアノに親しんできた。
その影響か、八代目も、年中組のころから音楽教室に行くようになった。
そのころ、その幼稚園では、女の子はかなり多くの子がピアノを習っていたのに対し、男の子はほんの数人だった。

10月になると、運動会があった。
その目玉は、年長組の全園児によるパレードだった。
指揮者がひとり。
キーボードがふたり。
大太鼓もふたり。
小太鼓がおよそ15人。
ほかに、バトンを持った子や、ポンポンを持った子など、全員で音楽を奏で、行進するのである。

長女のときは、実は私はひそかに期待していたのだが、キーボード奏者になってほしかった。が、長女より上手な子が沢山いたらしく、別の子になり、長女は小太鼓だった。それでも結構カッコよくて、写真をたくさん撮ったものだ。

八代目のときは、あまり期待していなかった。ピアノを始めるのが割と遅かったし、上手な女の子がたくさんいたからだ。
だから、八代目も小太鼓かな〜と思っていた。



一学期の最後の日、早い話が、夏休みの前日、わたしが帰宅すると八代目が数枚の楽譜を差し出した。
何かと思って尋ねると、運動会のパレードの、キーボードの楽譜だと言う。
えっ!、おまえキーボードになったの?
まさか・・・。
八代目より上手な子は沢山いたはずである。
なぜうちの子が・・・。
理由は分からないが、なぜかうちの子が選ばれたらしい。
もしかしたら、単に、男の子だから、という理由かも知れない(笑)。

楽譜は3枚。
最初が、「園歌」。ようするに、学校でいうところの「校歌」である。幼稚園だから「園歌」。
そして、「かえるのがっしょう」。
もう1枚が、「メリーさんのひつじ」である。
ほかに「ドラムマーチ」があるそうなのだが、キーボードは関係ないので、その楽譜はなかった。

ほかの大太鼓や小太鼓などは、2学期が始まってから練習に入るらしいが、キーボードだけはその時点で演奏できないと困るので、夏休みにビッシリ練習しておいてほしい、と園長先生から言われたそうだ。

おいおい、うちの子で大丈夫なのか〜?と思っても、もうすでに決まってしまったのだから、どうしようもないのである。

その日から、八代目にとって、地獄の特訓が始まったのである(笑)。

と言っても、幼稚園児の集中力なんて、タカが知れてるので、とりあえず、一日30分を目標に、私が練習を見ることにした。


楽譜を見ると、左手はすべて三指による和音(コード)である。
一番簡単な「かえるのがっしょう」から始めることにした。
コードは、C(ドミソ)のみ。
幼稚園児の小さい手でも、なんとか届く。
左手だけなら、一発で合格(笑)。
右手もなんとか弾ける。
でも両手で弾こうとすると、やはりもたつく。初日なんだから当たり前であるが。
それでも、右手だけなら完璧。左手だけでも完璧。というところまで練習して初日を終えた。

右手に意識を集中させると左手が遅れる。
左手に意識を集中させると右手が乱れる。
その繰り返しであったが、徐々に形になってきた。
そして5日目あたりから、「メリーさんのひつじ」もはじめた。

「メリーさんのひつじ」は、CとG(シレソ)のふたつのコードを使う。
今度は、シからソまで指を広げなければならない。
最初は四苦八苦していたが、なんとか押さえられるようになってくるから、たいしたもんだ。
一曲だけでは飽きてくるので、2曲を交互に練習するのは割と効果的のようだ。

そしてその2曲が何とか形になってきたある日、いよいよ「園歌」に挑戦である。
コードはさらに増えて、CとGとF(ドファラ)。
これがかなり頻繁に変わる。
幼稚園児にはちょっとツライかも・・・、という内容だ。
だが、心を鬼にして弾かせた。
子供も辛かったろうが、トウチャンも辛かったのだ。
八代目は半べそを掻(か)きながら弾いた。
何度も何度も弾いた。

その甲斐あって、夏休みが終わる頃には、3曲とも、パーフェクトに弾けるようになったのである。
パチパチパチ・・・。
偉いぞ、八代目。よくやった。


2学期が始まって、運動会の練習の時、先生方は、八代目の成長振りに目を見張ったらしい。
あんなヘタクソだったのが、よくぞここまで・・・、といったところだろうか。


これなら、もう大丈夫。と思った私は、ある日八代目にちょっとしたイタズラを教えた。
「かえるのがっしょう」を弾く時に、鍵盤をふたつずらして弾いてごらん、と言ったのである。
右手は、親指を「ラ」のところに置いて、左手は「ドミソ」を「ラドミ」に移動してひくのである。
要するに、ハ長調のものを、イ短調で弾くのである。

ド〜レ〜ミ〜ファ〜ミ〜レ〜ド〜 を
ラ〜シ〜ド〜レ〜ド〜シ〜ラ〜 と弾くのだ。

どう?、ちょっと悲しい感じになっただろう
と聞くと、八代目はもう一回弾いてみて、
あ、ほんとだ。これは悲しいカエルの合唱だ、
と言った。



翌日、帰宅すると、八代目から報告があった。
「悲しいカエルの合唱」は、幼稚園で大人気だったという。
あちゃー、やっちまったぁ・・・。
私は家の中の、その時だけの遊びのつもりで教えたのだが、八代目は、新しく知ったその曲を、数人の友人に披露して聞かせたらしい。
それはそうだよな。子供は新しいことを知ったら、みんなに教えたくなるのは自然のことだもんなぁ。これはわたしが悪かった。

それでね、○○ちゃん(女の子)がしょんぼりしてるから、どうしたのって聞いたの。
そしたらね、「悲しいカエルの合唱」を聞いたら本当に悲しくなっちゃったんだって。


ごめんね〜、○○ちゃん。み〜んなこのオヂサンが悪いんだよ。
もう泣かないでね。




設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
タイトルだけだと何のことやら、だったけど、こんなお話でしたか。
いつも楽しいお話を読ませていただいてありがとうございます。
しかし七代目さんてマンガも描けて楽器もできるのですか!
すげー!ボクはどっちもできないもんなぁ。
関係ないけど昨日BSアニメ夜話見ました? 大塚康生さんの話に思わず顔がほころびました。明日は「マクロス」だそうで…。
alpha echo
2005/06/28 23:48
大塚康生さんが出ていたのですか?!わわ〜、見たかったなや。
じつは私は土日を含む週5日午前1〜2時まで仕事なんです。なので、夜のTV番組は(昼間のもそうだけど)ほとんど見られないのが現状です。以前は見たい番組をビデオに撮っておいたのですが、それすらも見る時間がないので、いまではすっかりテレビ離れしてしまいました。
七代目
2005/06/29 00:21
しってるしってる〜〜^^
私もやったなぁ、かなしくなるかえるの合唱
あと、きらきら星。
これも「ラ」から始めると哀しくなってきますよ。
3km
2005/06/29 09:56
かなしいキラキラ星ですか(笑)。モーツァルトもびっくりですね(この意味判るよね)。八代目はあのあと悲しいメリーさんのひつじを弾いていたけど(笑)。
七代目
2005/06/30 02:04
「Reading Baton」なるものが回ってきました。
七代目さまにはもってこい!じゃありません??
私の読書の先輩、ぜひお願いしますね。
詳しくは私のブログを観てください。
突然ですが、お願いしますね。
3km
2005/07/01 10:16
3kmさんの頼みじゃ無下に断れないので、一応次の記事で書きました。が、ご希望に副えるような記事ではありません。ごめんなさい。
七代目
2005/07/02 00:42

コメントする help

ニックネーム
本 文