![]() さて、35年前のポプラ社版アルセーヌ・ルパン全集も、最後の一冊になってしまった。 この本の初版発行は、昭和45年10月20日となっている。 買ってすぐに読みましたよ。ええ。 おもしろかったですよ。ええ。 でもこれで終りかと思うと、ちょっと残念でもありました。 読書の習慣がなかった私に、本の面白さを教えてくれたポプラ社版ルパン全集は、こうやって最終巻を迎えたのでした。 タイトルは「地底の黄金」となっている。 他社のルパンシリーズでは、見かけないタイトルである。 本書も、発行前は、「(仮題)セーヌ川の謎」となっていた。これも見かけないタイトルだ。 原題は、 「LA BARRE Y VA」 LA は、冠詞 BARRE は、棒・線・法廷・潮などいろいろな意味がある。 Y は、そこに・そこまで VA は、行く・進む・達する、という意味の aller の直説法現在三人称単数。 直訳すると、「潮がそこまで行く」となる。 なんだ、そりゃ? と思うだろうが、そうなんだから仕方がない。 文句があるなら、ルブラン先生に言ってくれ。 フランスの、ル=アーブルから30キロメートルほどのところの、ラジカテルという村の一帯を、バール・イ・ヴァというのだ。 そこは、セーヌ川の支流のオーレル川のほとりで、大潮の時の満潮時に、海の潮がそのあたりまで逆流してくるので、その名前が付いたとされている。 そのバール・イ・ヴァ地方にある大きな屋敷で、その名も、「バール・イ・ヴァ荘」というお屋敷が、今回の事件の舞台なのである。 今の説明でお分かりかと思うが、最初の仮題「セーヌ川の謎」では変だ、という事がわかる。この場合は「オーレル川の謎」にしなくてはならない。それじゃ、わからないもんね(笑)。たとえば、「桃の木川の謎」(群馬県前橋市)といっても、地元の人にしか分からんじゃないか(笑)。 他のルパン全集では、「バール・イ・ヴァ荘」というタイトルにしている本が多い。 その方が良かったんじゃないかと思う。 「地底の黄金」というのは、誰がつけたか知らないが(訳者か、出版社の編集者か)、ネタバレもいいところだ。 だって、最終的に黄金はどこにあるのか?というのがテーマになるのに、すでにタイトルに答えが書いてある(笑)。 おいおい。 さてさて、ここからは大いにネタバレになりそうなので、これからルパン全集を読もうと思っている良い子は、ここから下は読んじゃいけんよ(笑)。 このストーリー、パリ警視庁の刑事、ベシューが出てくる。 このベシュー刑事とは、以前書いたNバーネット探偵局に登場する、お人よしの刑事である。 それに関して、冒頭にものすごいツッコミどころがある。 まず、ダブナック子爵と名乗るルパンが、夜に自分のマンションに帰ってくると、なかに一人の若い女性がいた。 「マドモアゼルがこんな夜更けに独身男性の部屋に・・・。非常識じゃあーりませんか。第一、どうしてドアの鍵を・・・?」 とルパンが問うと、鍵を差し出して、「ある人からとってきた」と言うのである。 そこに、ルパンにベシューから電話が掛かってくる。 最初はとぼけるルパンだったが、ダブナック=バーネット=ルパンだと言われて、あっさり認めてしまうのである。 そして、今ラジカテルという村に来ていて、ある事件に巻き込まれてしまったので、ルパンの力を借りたい、と言うのだ。 実は、先ほどの若い娘は、その村からルパンに救いを求めてやってきたのだった。そして鍵はベシューのところから失敬してきたものだった。 どうですか? ちょっと考えると、変じゃありませんか? ルパンは、そのときダブナック子爵として、そのマンションで暮らしていた。 バーネットのときとは当然違うアジトである。 しかも最初は、自分はダブナックで、ベシュー刑事という人は知らない、と、シラをきろうとしていたのである。 そういう間柄なのである。 なのに、なぜ、ベシューはダブナック子爵のマンションの鍵を持っていたのか!? 笑。 あ〜、でも、これを差し引いても、大変おもしろいストーリーでありますよ。 犯人のいない殺人事件がおきたりして。 そして最後は黄金を探すのですな。 でも、黄金はどこにあるのだろうか。 わからん(笑)。 謎だ(笑)。 いろいろ推理しつつ読んでいた読者(私)は、そこでフとタイトルを見てしまって、 へなへなへな〜、と、チカラが抜けてしまうのである。(笑) なお、表紙画像掲載については、ポプラ社さまより許可をいただいております。 |
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