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「赤い輪」(レッド・サークル)という映画がある。 日本では、大正6年(1917年)に封切られている。 フランスで封切られたのもその頃で、「赤い輪ごっこ」というのが少年たちの間で大流行し、フランス教育界の問題となり、ついに上映禁止になってしまったという経緯を持つ。 ルブランが書いたこの「赤い輪」が出版されたのは、1922年である。 つまり、映画より後である。 だが、内容は、映画「赤い輪」と同じであった。 本書の訳者、保篠龍緒氏は、若い頃浅草でこの映画を観ていて、翻訳時に、その筋や人物までよく憶えていて、映画とルブランの「赤い輪」は全く同じものだと書いている。 とすると、本書は映画の脚本を小説化したものなのだろうか。 しかし、本書にはそのようなことは一切書いてない。映画の原作者の名前も出ていない。 まさか、また著作権法違反をしたのではあるまいな(笑)。 まだルパンシリーズを書き始めの頃、「遅かりしシャーロック・ホームズ(原題・SHERLOCK HOLMES ARRIVE TROP TARD)」という作品を書いて、原作者コナン・ドイルから抗議を受けたことがある。それによって、ルブランはシャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)をハーロック・ショームズ(Herlock Sholmes)と変えた経緯を持つ。そのことは以前、「ルパン対ホームズ」のところで書いた。 今回は、映画が原作である。これはどうしたことなのだろう。 本書の「はしがき」によると、映画「赤い輪」には、作者の名前が出ていないという。 訳者の見解では、映画「赤い輪」の原作者はルブランなのではないかということである。 すなわち、1915〜6年頃、ルパン物を映画化して上映している関係から、パテー映画社から特に依頼され、この映画のシナリオを書いたのではないだろうか。そして、なんらかの事情で原作者の名前を伏せていたのではないだろうか、というのである。 とにかく、ルブランの名で堂々と出版していて、著作権法にも引っかかっていないところをみると、上記の説は正しいものと思われる。 ただし、だからと言って、この作品をルパン全集に入れるのは、考え物である。 ルパンとは全く関係ないストーリーなのだから。 ただ、それによって、この一風変わった探偵小説を読めたのだから、私個人としては、良かったな、と言えると思う。 でも、ルパン物だと信じて買った人は、怒るだろうな(笑)。 |
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