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サプロー博士は言った。 危険が身に迫ってエレン・ロックの救いを必要とするときは、三度拍手して、地を見つめながら三度彼の名を言えばいい。 三度笛を吹くとマグマ大使が来るけれど、エレン・ロックは三度拍手して三度名前を呼べばいいらしい。 ナタリーは、そうやってエレン・ロックを呼んでしまったのである。と言っても、別に悪魔を召喚してしまったワケではないけんね。 原題は、 LA PRINCE DE JERICHO Prince は、君主・帝王・皇族・公爵。 Jericho は人名。 あ、ここからはネタバレです。 大海賊ゼリコと、記憶を失った超人エレン・ロック。 物語が進むにつれ、ゼリコ=エレン・ロック ということが分かってくる。 そして、エレン・ロック=ルパン らしいのだが、 私はこれに異議を唱えたい。 というのは、ルブランが前書きで、 この一篇は、私のいえることは彼アルセーヌ・ルパンが私に知らせてくれ、話してくれた一番情熱的な、また一番怪奇的な物語であります。 と語っている。(訳・保篠龍緒) こう語られると、この話しの主人公エレン・ロック=海賊ゼリコは、ルパン本人なんだよ〜、と言ってるように聞こえてくる。 ルブランもそういう意図で書いたと思うのだけど、 それだと、かなり無理があるような気がする。 ストーリーのながれではなく、ゼリコという人物の経緯をみると、 まず、海賊になる。ただし、金品は盗むが人は殺さない。ここいらはルパンと同じである。 ところがある時、信頼していた部下に、船上で背後から鉄棒で頭部を殴られ、死んだと信じた部下達は、近くを流れていた木片にゼリコを縛りつけ、沖に流してしまった。 しかし、ゼリコは生きていた。ただし、記憶を失っていた。 その記憶を、このストーリーのなかで徐々に取り戻していくのである。 が、私にはそれがどうも無理があるように思えてならない。 だって、それがルパン本人だとしたら、まず自分がルパンであることを思い出していくのではないかいなと思うのである。なのに、エレン・ロックときたら、そうか、オレはゼリコだったのだ、と思い出すのである。記憶喪失になった人間が、記憶を取り戻したとき、その直前に使っていた偽名を真っ先に思い出すものなのかなぁ。それでいて、ルパンのルの字も出て来ないし。 たしかに登場人物の性格・体格・行動力などをみれば、 エレン・ロック = ゼリコ = ルパン でもいいのだろうけど、 個人的には、 ≠ ルパン と思いたい。 異論はあるだろうが・・・。 日本文芸社版「ゼリコ公爵」は、おそらく入手不可だと思うけど、 偕成社版や、創元推理文庫版は、まだ入手可能だと思います。 |
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