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赤ん坊のころから沿線の鉄道車両を見て育ったわたしは、自然と鉄道ファンになってゆきました。 中でも一番興味を持ったのは、真っ黒い煙を吐き、ロッドでつながった巨大な動輪を回転させて走る蒸気機関車でした。 ただ残念なことに、我が家の近所の線は、わりと早くに電化されたため、電気機関車が多かったのです。が、ときどきは蒸気機関車も走っていたように記憶しています。 でも、四角い箱の電気機関車よりも、複雑な機械が目の当たりに見える蒸気機関車のほうが、断然好きでした。 蒸気機関車は、高崎駅に行くと、たくさんありました。 我が家の近くのローカル駅から電車または列車に乗って高崎に行くのですが、乗ったらいつも進行方向左側の席に着くのが好きでした。 左側ですと、高崎駅の少し手前にある、機関区を見ることができたからです。 駅手前の大きな踏切を越えると、そこには大きな転車台(ターンテーブル)があり、その向こうに扇型の車庫がありました。車庫には出番を待つたくさんの蒸気機関車が、その大きな体を休めておりました。 そして運がいいと、転車台で方向転換をする蒸気機関車を見ることができました。 巨大な蒸気機関車を乗せた転車台は、ゆっくりと、確実に、回転していました。 幼いわたしは、その転車台のことを、「ぐるぐる」と言っておりました。 駅のホームからは、残念ながら「ぐるぐる」はよく見えませんでしたが、かわりに出発する蒸気機関車を見ることはできました。 どこからともなく、いきなりボーッ!という音がすると、続いて連結器がガチャンガチャンと音を立て、ボッボッボッという音とともに、どこかのホームから列車が出発して行きます。しばらくすると、ドレンを抜くシューッ!という音が聞こえ、真っ白な蒸気が機関車の両脇から噴き出されるのが見えました。 自分たちが乗る列車の出発時刻まで、そんな蒸気機関車の発車風景を見るのが大好きでした。 でも、そう沢山見られるわけでもない駅のホームよりも、もっと魅力的な場所がありました。 それは、あの「ぐるぐる」の脇の踏み切りのところでした。 その踏み切りは、列車の通過本数が多い時間帯は、いわゆる開かずの踏み切りになるのですが、歩行者用に、跨線橋(歩道橋)が架かっていました。 そこに、幼稚園に入る前に、3〜4回連れて行ってもらった記憶があります。 父が運転するスクーターの後ろに乗って、数十分かけてその踏み切りまで行くと、スクーターを近くに停めて、跨線橋に上って「ぐるぐる」を見るのです。 扇型車庫から出てきた蒸気機関車は、ゆっくりと転車台に乗ります。転車台はその大きな蒸気機関車の重みなど物ともせず、ゆっくりと回転して方向を変えます。そしてあるところで停止すると、その蒸気機関車はボッボッボッというドラフト音とともに、駅の方向に走り去るのです。 また逆に、駅の方からきた別の蒸気機関車は、ゆっくり転車台に乗ると、方向を変え、車庫に入って行くのです。 D51やら、9600型やらの大きな蒸気機関車のほかに、C11やC12といった小型のタンク機関車もありました。 もっとも、そのころは蒸気機関車の形式などは、まったく知りませんでしたけれど。 その「ぐるぐる」を見ることも好きでしたが、もっと興奮することがありました。 それは、その跨線橋の下をときどき通過する蒸気機関車を見ることでした。 見る、と言っても横から見るのではなく、真上から見ることでした。 遠くの方から、蒸気機関車に引かれた列車が近づいてくるのを発見すると、まず、どの線路を通るかを見極めます。 駅に程近い場所なので、たしか10本近くの線路があったと思います。 たぶんこの線路を通る、と思ったら、その真上に行って、真正面から近づいてくる蒸気機関車を待ちます。 ボッボッボッボッボッという、ものすごいドラフト音が身体を震わせます。踏み切りのところなので、ポーッ!と汽笛を鳴らすこともあります。 そして真っ黒い煙を吐きつつ、蒸気機関車はわたしの真下を通過するのです。 跨線橋上のわたしは、その煙に全身を包まれて、大喜びをしていたのです。 大人たちは、煙から逃れるように、一目散に走って行ったのに、わたしだけは、煙のなかで、その匂いを楽しんでいたのでした。 今でも私は時々蒸気機関車の写真を撮りに、カメラを担いで遠出することがあります。 でも、よくよく思い返してみると、写真を撮るという行為よりも、蒸気機関車の吐き出す煙や蒸気の匂いを楽しみに行っているような気がしてなりません。 あの、油と石炭が燃える、懐かしい匂いを求めて。 ↑ぐるぐる |
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素敵な思い出がありますね♪ |
Sonoママ 2005/11/24 10:14 |
Sonoママさん、コメントありがとうございます。 |
七代目 2005/11/24 18:24 |
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