七代目孫左衛門

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help リーダーに追加 RSS 初めてのクラシック (My音楽WARS ep5)

<<   作成日時 : 2005/12/15 00:18   >>

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A long time ago,
in a galaxy far, far away. . .

というほどでもないけど、
はるかむかし
ハリソン・フォードがカーボン漬けにされるより
もっとむかし・・・



私は吹奏楽部で
タイコをたたいていた・・・





My 音楽 WARS


エピソードX
初めてのクラシック








我が中学の新生吹奏楽部の40数名のメンバーは、ほぼ全員が初心者であった。
経験者も数名はいたが、それとてせいぜい音階と簡単な曲を吹ける程度のもので、とても経験者と呼べるレベルではなかった。
始めのうちは、来る日も来る日もロングトーンと音階、教則本に載っているたいして面白くもない曲の練習ばかり。
それでは皆飽きてしまうので、顧問のT先生は、とりあえず3つの楽譜を配った。
「校歌」
「君が代」
「ゆけゆけ飛雄馬」
の3枚である。

「校歌」は学校行事があるたびに演奏しなければならない。
「君が代」は始業式や終業式、卒業式には欠かせない。
そしてもう1曲は、それらの式の入退場行進曲として、当時人気絶頂だったアニメ「巨人の星」のオープニング・テーマが選ばれた。

1ヶ月ほどして「ゆけゆけ飛雄馬」がなんとか形になってきたころ、T先生があらたな楽譜を持ってきた。

その楽譜は先生が知人の方からお借りしてきたもので、各自、自分のパートのものを写譜して使用した。
かなり短いものであった。
曲は、ビゼー作曲、「アルルの女」第1組曲の第1曲「プレリュード」。
その「プレリュード」の前半、というか冒頭の部分である「王の行進」のところだけであった。

初心者しかいない吹奏楽部のクラシック第1曲としては、なかなか良い選曲だったと思う。


当時私はクラシックにはまったく興味がなかった。
知っている曲は、小学校の授業で習った、シューベルトの「魔王」、ベートーベンの第9の第4楽章、グリーグの「ペール・ギュント」くらいのものだった。
ほかには、幼い頃の記憶で、チャイコフスキー作曲「白鳥の湖」の中の「情景」、ヴェルディの「アイーダ行進曲」の2曲。これは父がもっていたSPレコードで聴いた記憶がある。
その程度しか知らなかったが、この「アルルの女」の「プレリュード」を毎日練習していると、だんだん愛着を覚えてきて、いつか全曲を聴いてみたいと思うようになってきた。




中学校に入学してしばらくすると、クラスで、ラジオの深夜放送を聴くことが流行ってきた。
ほとんどが上級生の影響ではあるが。
もちろんまだ本当の意味の深夜の放送は、眠気に勝てずなかなか聴けなかったけど、夜10時台・11時台の番組は、なんとか聴くことができた。

私が最初に聞いたラジオ番組は、夜10時からTBSラジオで放送されていた「一慶・リリーのヤングポップス1010(イチゼロイチゼロ)」という番組で、10時ちょうどから始まるのに何故「1010」かと思ったら、始めのころは10時10分から放送されていたからだった(笑)。ほかに人気があったのは、11時45分から0時ちょうどまでの、「桂三枝のぐりぐりクォーター」という番組。聴取者から送られてくる面白ハガキをもとに構成された番組で、私はその時間まで起きていられず、めったに聴いたことがなかった。
さらに午前1時からは「パック・イン・ミュージック(TBS)]・「セイ・ヤング(文化放送)・「オールナイト・ニッポン(ニッポン放送)」など人気番組が目白押しであったが、中学1年ではほとんど聴いているものはいなかった。眠気に勝てなかったのである。ただ実際に聞いている者もいることはいた。そいつは朝登校してくると自慢げに話すのだが、授業中に寝ていることも多かった(笑)。

ラジオは昔祖父が使っていたものをもらった。AMだけの1バンドのトランジスターラジオで、かなり大きいものだった。それを、延長コードを1本買ってもらって、ベッドの枕元まで伸ばして、いつ寝てしまってもいい状態にして聴いていたのである。スリープタイマーなどというものはなかったので、朝起きると、いつも耳元でラジオが鳴っていた。

ラジオ番組を聴きだすと、新聞のラジオ番組欄を見るようになった。
そしてある朝、素晴らしいものを発見した。
NHKラジオ第1で、「アルルの女」を放送するのである。
時間は夜11時すぎからの、「音楽夜話」という番組で、いつも知らないクラシック音楽を放送していたので、それまでほとんど聴いたことはなかった。
たしか11時からニュースがあって、その後12時まで放送していたように記憶している。(うろ覚えです。あまり信用しないように)

当時買ってもらったばかりのカセットテープレコーダーがあった。
ラジオもなにも付いていない、単に録音・再生が出来るだけのもので、オートリバースなどというものも、もちろんない。それでも当時の価格で3万円くらいしたはずである。

私は学校の帰りに電気店に寄り、120分のカセットテープを買った。これなら片面1時間まるまるノンストップで録音できる。
ラジオとカセットレコーダーを結ぶ外部入力用のコードは持っていたので、雑音が入る心配はなかったが、短いテープを使って、途中でB面に裏返すとなると、曲が途中で切れてしまうだろうと思ったからである。また、裏返す前に眠ってしまったらアウトだ。
120分テープは、薄いので絡まりやすいと聞いていたのだが、それには目をつぶった。

11時。
ニュースが始まったのを聴いて、録音ボタンを押した。
そしてそのまま私は爆睡した。



朝起きて、まず最初にカセットを巻き戻す。
その間に着替えを済ます。
当時の機械は、巻き戻しもゆっくりで、時間がかかったのである。
全部巻き戻してから「play」ボタンを押すと、ニュースをやっていた。少し早送りすると、今度は曲をやっていたが知らない曲だった。
一応間違いなく録れていることがわかったので、安心して学校に行った。

帰宅してすぐまたテープを巻き戻す。
ちょっとイライラしながらニュースを聞いていると、10分ほどで「音楽夜話」のオープニング・テーマである、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番第3楽章(夜想曲)が始まった(もちろん当時はそんなタイトルなど知らない)。チェロとヴァイオリンの旋律の美しい曲である。
曲が終わると、アナウンサー(だと思う)による解説があり、その後いよいよ「アルルの女」が始まるはずであった。

ところが、始まったのは、全然知らない曲だった。
アナウンサーは、マスネ作曲「アルザスの風景」と言った。
あわてて昨日の新聞を見たが、そこには「アルルの女」としか書いてなかった。

なんだよー、新聞と違うじゃねぇか。
がっかりして悪態をつきながら、私は漫画を読み始めた。
ただ、カセットテープは回しっ放しにしておいた。せっかく録ったのだからと、ちょっと意地になっていたのである。
すると、20分ほどして、いきなり知っているフレーズが始まった。
「プレリュード」の「王の行進」である。
あぁっ、なんだ、やっぱ「アルルの女」もやってたんじゃねぇか。
と分かって、少し巻き戻して、ボリュームを上げて聴いた。

学校でやっている「プレリュード」とは、少し違っていた。
オーケストラの曲を吹奏楽用に編曲してあるのだから、違っていても不思議ではないのだが、初めて聴く本物のプレリュードは、緩急があり、木管のメロディーの美しい曲だった。しかも王の行進だけで終わらず、その後サキソフォンの素晴らしいソロがあった。
う〜ん、我が部のK君のサックスとは音色が全然違うなぁ、などと、当たり前のことを考えながら聴いていたのだった。
私は「プレリュード」のほかに、第1組曲第4番「カリヨン」と第2組曲第3番「メヌエット」が特に気に入った。
そして私はそのテープを毎日毎日飽きることなく何度も聴いたのである。行きがかり上、「アルザスの風景」もよく聴いた。それこそ、テープが絡まるまで・・・。

初めて興味をもったクラシックであった。いや、興味を持ったというより、のめり込んだと言ってもいいかも知れない。全音のポケットスコアはもちろん、原作であるドーデの戯曲「風車小屋だより」まで読んで「アルルの女」の世界に浸っていたのである。


しばらくして、私は初めてクラシックのレコードを買った。
曲はもちろん、ビゼー作曲「アルルの女」である。
買いに行ったレコード店に「アルルの女」は5〜6種類あった。
ほとんどが1000円〜1500円程度だったが、カラヤン指揮ベルリンフィルのものだけ、2200円だった。
私が買ったのは1000円の廉価版である。中学生の小遣いでは、これでも痛い出費だった。
指揮はハンス=ユルゲン・ワルター。ハンブルグ放送交響楽団の演奏である。
なぜこれを選んだかというと、他のレコードは、カラヤンのものも含めて、すべて「アルルの女第1組曲・第2組曲 + カルメン第1組曲」であるのに対し、このレコードに限り、「カルメン第2組曲」も収録されていたからである。
ようするに、曲が多く入っているからお得である、という貧乏人根性丸出しで(笑)選んだレコードだったのである。

「アルザスの風景」も探したけれど、見つからなかった。
当時まだ日本版は発売されていなかったようなのである。
その後、何年にもわたり「アルザスの風景」を探すことになるのだが、それはまた別の話しである。






My 音楽 WARS

エピソード X
初めてのクラシック









[ シリーズ ]
エピソード4 新たなる希望
エピソード5 初めてのクラシック
エピソード6 オーボエの帰還

エピソード1 セカンド・リコーダー
エピソード2 初・舞・台
エピソード3 鼓笛隊


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鼓笛隊 (My音楽WARS ep-3)
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2006/09/21 01:43

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
さっそくのエピ5ですね。
楽しく読んでたら、懐かしいスコアの写真。確か僕も持っているはずだと書棚を見たら・・・全くおんなじものがありました。
裏表紙を見たら「昭和41年11月 第4刷発行」で、値段はなんと\100・・・
なんだか七代目さんとは同じような青春を経てきたようなきがします。
アーパー栗
2005/12/15 10:49
アーパー栗さん、コメントありがとうございます。
¥100ですか。私のは¥140で、昭和45年11月 第6刷です。
>同じような青春を経てきたような・・・
同じようでも結果はずいぶん違うようで(笑)
かたやプロのミュージシャン、こちらはしがないサラリーマン。
これからもヨロシク。ep6は現在下書き中です。
七代目
2005/12/15 18:21
こんばんみぃ。寒い日々ですねぇ。
なんとなく世代の違いを感じながら読んでしまいました。(何がって、選曲の内容だったり、楽譜の値段だったり)
私も中学生の頃は楽譜を見ながら曲を聴きまくった覚えあります〜。
それに夜の文化放送やオールナイトニッポンは私も大好きでした。私にとってもラジオ放送そのものがなんだか懐かしいもののように感じます。
篠宮れい
2005/12/23 23:05
れいさんも深夜放送を聞いてましたか。
私はハタチくらいのころは、月曜深夜松山千春、火曜深夜中島みゆき、水曜深夜タモリ、木曜深夜はダウン(笑)、金曜深夜はナチチャコパック、土曜深夜は鶴光さんとラヂオ付けの毎日でした。れいさんは誰のファンでしたか?
七代目
2005/12/24 00:39

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