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in a galaxy far, far away. . . というほどでもないけど はるかむかし・・・ 帝国軍と反乱軍が戦うより もっとむかし・・・ わたしは 某市立中学校に入学した 新たなる希望 ( A New Hope ) 車がひっきりなしに通る国道から、車が1台なんとか通れるかどうかという細い路地を抜け、クランク状に曲がった道を50mほど行ったところに、その中学校はあった。 校舎は出来上がったばかりのピカピカの新校舎で、むせるほどのペンキの臭いがわれわれ新入生を迎えてくれた(笑)。 新校舎といっても、まだ第1期工事が終わったばかりで、一般教室棟だけが出来上がったところだった。 その校舎には、各学年の教室のほか、職員室、校長室、会議室、図書室、保健室、理科室(第1・第2)、音楽室、視聴覚室、調理室(家庭科室)があったが、そのほかの教室、たとえば、技術室、美術室、被服室(家庭科室)、暗室、柔道場や各部の部室などは、依然旧校舎にあった。そして使われなくなった部屋は、物置と化していた。 入学式は校庭西側の体育館で行われた。 小学校と中学校の最大の違いは、放課後の部活動(クラブ活動)であろう。 ある者は運動部へ、ある者は文化部へ、そして一部の者は帰宅部(笑)へ・・・。 入学式が終わる直前、一人の女性教師が新入生の前に出てきてこう言った。 「吹奏楽部を作りますので、音楽に興味のあるひとは、放課後、音楽室に集まってください。」 なんとも恥ずかしい話しであるが、私はそのとき「吹奏楽」という言葉を知らなかった。 そこで、たまたまとなりに座っていたGに「スイソーガクってなに?」と聞いたのである。 Gは小学校のときの同級生で、かなり音楽に詳しかった。Gの家に遊びに行ったとき、ベートーベンの交響曲全集のレコードを見せてもらった(聞かせてもらった、ではない^^)こともあった。 「トランペットとかトロンボーンとかの吹いて音を出す楽器があるだろ。それの楽団だよ。」 「鼓笛隊みたいなもんか?」 「違う違う。オーケストラがあるだろ。あれのバイオリンなんかを無くしたやつだよ。」 「そんなんがあるのか」 「ブラバンだよ。ブラスバンド。あとフルートとか色々あるんだよ。」 「そんなん中学生で出来るのか?」 「できるんじゃないの」 「へ〜」 その女性教師は、その春他校から転任してきた音楽教師で、前任校では吹奏楽部の顧問として、相当な成績を収めたらしい。 ところが、我が校には吹奏楽部がなかったので、校長に直談判して、かなりの数の楽器を購入してもらったらしいのである。 もっとも、吹奏楽部がなかったのは、過去10年くらいで、その前は、驚くべきことに、管弦楽部があった。(ep6参照) だから、古いなりにも、多少は楽器があった。それらを物置から引っ張り出し、修理し、ピカピカに(は、ならないけど)磨いて使用したのである。 小学6年のとき鼓笛隊を経験して(ep3参照)音楽に興味を持っていた私は、吹奏楽部に入ろうかどうか悩んだ。 というのは、6年生のとき1年間柔道を習い、紫帯(3級)を締めていたので、ぜひ中学で黒帯を、と思っていたからである。 そこで、一緒に柔道を習い、一緒に鼓笛隊で大太鼓をたたいていたPに相談してみた。 するとPは「オレ柔道部に行く」と、あっさり音楽を棄ててしまったのである。 それで私も決心がついた。 もし私が吹奏楽部に入れば、私は紫帯のまま。Pはおそらく黒帯になるだろう。 そうなると、くやしい。 それで、私も柔道部に入ることにした。 子供らしい、素直な結論である(笑)。 入学式の翌日、私とPは柔道部に仮入部した。 総勢10人くらい(だったと思う)の新入生が集まった。 まったくの初心者もかなりいて、そういう者はまず受け身を憶えさせられる。 経験者数名は、いきなり上級生と乱取り(実戦式練習)である。実力のほどを見ようという魂胆であろう。 私の相手は黒帯の3年生で、私はいいように投げ飛ばされ続けた。 そして悲劇が起こった。 投げられ、畳に仰向けに倒された私の顔面に、 となりで乱取りをしていて投げられた者の踵(かかと)が 直撃したのである。 見る見る赤く染まる柔道場の畳。 私は一瞬鼻の骨が折れて死ぬかと思った。 鼻は無事だった。 直撃したのは鼻の下、要するに、歯茎のところで、 前歯2本がゆがんでいた。 そのうえ口の中が切れて、なかなか血が止まらない。 顧問の教師が車で近所の歯科医に連れて行ってくれた。 幸いなことに、歯茎を強打したにもかかわらず、歯は歪んだだけで折れてはいなかったので、神経は抜いたものの、歯はぬかずに済んだ。 固定して、その後毎日歯科医院に通うことになった。 もちろん柔道部は見学である。 もっとも、歯以外はどこも悪くはないのだから、練習に参加できるのだが、思わぬ怪我で気弱になってしまっていたのである。 道場のすみに一人でポツンと座っていると、窓の外に新校舎が見えた。その新校舎の4階の東の端にある音楽室から、初心者だけでヘタクソだけど楽しそうな吹奏楽の音が聞こえてきた。 ああ、こんなことなら最初から吹奏楽部にすれば良かった・・・。 そう思うと、こんなところで一人で座っている自分が、なんだか惨めに思えてきた。 まだ「仮入部」である。 正式に柔道部員になったわけではない。 私は意を決して部長に退部する旨を告げ、翌日には正式な吹奏楽部員になっていた。 前歯を治療中なので、リード楽器は吹けない。金管楽器も無理だろう。 私はパーカッション(打楽器)の担当になった。 入部してみて驚いた。 出来たばかりの部なのに、総勢40名を超えていた。 1・2年生が各20名ほど。男女比はほぼ5:5である。 3年生(女子)も二人いた。 その二人は、どうしても音楽がやりたくて、それまで入っていた運動部を辞めてきたのだった。 ただ、夏休みくらいまでしか在籍できないので、管楽器は無理だろうという先生の判断で、ふたりはパーカッションの担当だった。 パーカッションには、もう一人、2年生の男子がいた。 そこに私が加わり、この4人が第1期打楽器メンバーとなった。 練習に使う楽器は、バスドラム(大太鼓)1 ・ スネアドラム(小太鼓)2 ・ シンバル1で、4人で交代に練習した。 当時、ティンパニーはまだなかった。予算の都合もあるだろうが、まず人数分の管楽器をそろえるほうが先だった。 ドラムの練習は楽しかった。特にスネアドラムは鼓笛隊のころからやりたくて仕方がなかった楽器だったので、特に練習に力が入った。 しかし困ったことがあった。誰も「トレモロ(ドラムロールとも言う)」の奏法を知らなかったのである。 そこで顧問の先生は、当時近くの高校の吹奏楽部で打楽器を担当していた、かつての教え子に、コーチに来てくれるよう依頼してくれたのである。 4人のうちで真っ先にトレモロをマスターしたのは私だった。 すると自然にスネアドラムの前に立つ時間が長くなり、結果、いよいよドラムの腕があがるのだった。 5月になると、教生の先生がやってきた。 教職課程を取っている大学生である。 その年、そのうちの一人(女性)が音楽の先生だった。 はじめは教室のうしろにいて、授業の様子を見ているだけだったが、2度目の時は、早速教壇に立った。 速度記号に関する授業であった。 「この曲(教科書の楽譜)の左上を見ると、アンダンテ(Andante)と書かれています。これは、『歩くような速さで』という意味の速度記号です。次のページを見てください。」 皆、パラパラとページをめくる。 「そこには、アレグレット(Allegretto)と書かれています。これは『やや速く』という意味の記号です。」 われわれ1年2組の生徒は、ふむふむなどと頷(うなず)いている。 「それでね、アンダンテとアレグレットのあいだにもう一つあるんだけど、わかる人。」 と聞いてきた。 私は、間髪入れずに「モデラート(Moderato)」と答えた。 すると、教室の後ろの方から、いきなり「すげー!」という叫び声があがった。 そしてその声につられて、一時教室中が騒然としてしまった。 教生の先生は、ちょっとあわてた様子で、 「そうですね、モデラートは『中くらいの速さで』という意味です。」 と言って授業を再開した。 その「モデラート」のひと言で、スゲーと言われた私だったが、本当は、全然スゲクない(笑)のである。 30数年の時を経て、初めてタネ明かしをしよう。 あれは、知っていたのではなく、たまたま見ただけなのである。 つまり、教生の先生がページをめくらせてアレグレットの説明をしているとき、私はさらに別のページを見て、ラルゴとかアレグロとかアダージョなどという記号も見ていたのである。その中にモデラートもあったのだ。 だから先生が質問をした瞬間に答えられただけなのである。 ようするに、カンニングである。竹山である。(え?) それよりも、じつは、「スゲー」と叫んだ本人のほうがすごかったのだ。 彼は、「モデラート」を知っていたのである。 小さい頃からピアノを習い、中学1年生とは思えないほどの腕前で、そのくらいの速度記号など、とうの昔に頭にインプットされていたのである。 知っていたから、先生の質問に答えようとして、手を上げようとしたところ、私が手も上げずに、いきなり答を言ってしまったから、ビックリして(オレよりできるヤツがいる、と思い)、「スゲー!」と叫んでしまったというのが真相のようだ。 そう、私はぜんぜんスゴクなかったのである。 しかし、「モデラート」のひとことで、クラスのみんなから、「むむ、こやつ出来る。さすがブラバン」と思われてしまったのも事実だ。 その授業が終わって教室に帰ると、リコーダーを音楽室に忘れてきたことに気が付いた。 すぐに、廊下を走って(こらこら)音楽室に戻ると、先生が音楽室のドアに鍵をかけているところだった。 事情を話し、中に入れてもらい、リコーダーを持って外にでると、教生の先生が私の顔をまじまじと見て、 「まさかモデラートを知っている子がいるとは思わなかったので、びっくりしちゃった。」 と言った。 すると音楽の教師で吹奏楽部の顧問であるT先生は、うれしそうに、こう言うのだった。 「七代目くんは、わが吹奏楽部の、ニュー・ホープだから。」 ![]() エピソードW A New Hope 終 [ シリーズ ] エピドード4 A New Hope エピソード5 初めてのクラシック エピソード6 オーボエの帰還 エピソード1 セカンド・リコーダー エピソード2 初・舞・台 エピソード3 鼓笛隊 |
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セカンド・リコーダー(My音楽WARS ep-1)
A Long time ago, in a galaxy far, far away. . . ...続きを見る |
七代目孫左衛門 2006/08/20 12:10 |
初・舞・台 (My音楽WARS ep-2)
A Long time ago, in a galaxy far, far away. . . ...続きを見る |
七代目孫左衛門 2006/08/21 00:29 |
鼓笛隊 (My音楽WARS ep-3)
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七代目孫左衛門 2006/09/21 01:43 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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最近音楽ネタがなかったので少し寂しかったのですが、こりゃあ面白い。 |
アーパー栗 2005/12/10 11:40 |
え〜、「完」なんですかぁ〜。to be continued じゃないの〜? |
トースケ 2005/12/10 22:37 |
プロの音楽家であるアーパー栗さんからお褒めの言葉を頂いてとても嬉しいです。 |
七代目 2005/12/11 03:40 |
トースケさん、そういう事はもっと早く言ってくれなければ!(笑) |
七代目 2005/12/11 03:48 |
おぉぉぉ〜。おもしろ〜〜い!!わくわくしながら読みました^^。 |
篠宮れい 2005/12/11 20:25 |
やぁ、れいさん、やっとかめだなも。 |
七代目 2005/12/12 01:04 |
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